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インド国内トップを走るヒーロー・ホンダ(後編)

優秀なインド人と忍耐強くビジネスを

順調に拡大し続けているインド二輪車市場。二輪車需要は従来の都市部に加え地方・農村部にも拡大し、成長は加速し続けているという。1984年に本田技研工業とヒーロー・グループの合弁企業として設立されたヒーロー・ホンダは国内シェア50%を押さえ、国内トップに位置する。いまや、その生産規模は世界最大を誇る。成長目覚ましいインド二輪車市場をリードするヒーロー・ホンダの中川敏彰共同執行社長に、インド市場について語ってもらった。

偽物が比較的少ないインドはビジネスがやりやすい

インド国内のディーラーの育成や管理の方針について教えてください。

中川:ディーラー間で競合しつつ、自力で成長してもらう方針をとっています。今年だけで500店ほど増やしており、必然的に競合するケースが増えてきています。

管理という面では、特に今後更なる拡大が予測される農村部でいかにビジネスを数値化して需要予測や拡販に結びつけていけるかが、重要と考えています。

しかし、市場が順調に成長しているので、ディーラー側もそこまでの必要性を感じていないようです。

ですので、末端までの情報を取るのは苦労しています。

どのようなディーラーが成功しているのでしょうか?

中川:成功しているディーラーは単に売るだけではなく、メンテナンスをしっかりやっているところが多いですね。メンテナンスやパーツの粗利も大きいですし。

インドは中国などと比べて知財に関する法規と運用がしっかりしていると思います。闇や偽物のコピー車やコピーパーツが比較的少なく、そういった意味では、ビジネスがしやすい環境と言えると思います。

消費者も価格に偏重せず、品物の確からしさと価格のバランスを見て合理的に判断をしているように感じます。ものの価値がわかっていると言えます。

ヒーロー・グループの優秀な人材とWin-Winの関係を構築

御社はヒーロー・グループとの合弁企業ですね。合弁パートナーとのヒーロー・グループとの関係はいかがですか?

中川:ヒーロー・グループとは非常にうまくいっていると言えます。また、ヒーロー・ホンダの人材は非常に優秀で、人材がよく育っています。

市場の成長とともに弊社の業績も順調に伸びており、お互いの信頼関係がしっかりできています。パートナーのヒーロー側のHondaに対するロイヤリティも高いと感じています。今年は合弁会社創立25周年ということもあり、記念イベントや記念メモリアルモデルを上市します。

パートナーとの運営で苦労したことはありますか?

中川:まあ、もちろんご多分に漏れずインド人を相手にする難しさということはあるかもしれません。

しかし、大事なところはしっかり抑え、あとはインド人がやりやすいように自由にやってもらうことが重要であり、会社の活力となっていると思います。その点、Hondaは三現主義(現場・現物・現実)で現地への理解もあるので、やりやすいですね。

「インド人を相手にする難しさ」というお話がありましたが、インドでビジネスを行う苦労について教えてください。

中川:インドでは自己主張したい人たちが多いので、ある程度我慢しなければいけないことがあります。しかしこれが彼らのスタイルなので、ある程度の忍耐が重要だと思います。

インド人は優秀、忍耐強くビジネスをすることが重要

今後のインド市場をどう見ていますか?

中川:巨大なポテンシャルを持ち、実際に成長を続けている市場です。世界の中でも若者が50%を超える人口がいるというのがインドの強さです。まだ数十年は伸び続けていくと見ています。これだけの規模と成長率を持つ国は、世界でも類を見ないと思います。

弊社としては、ブランドがいい形で定着できていると思っています。Hondaは世界中で二輪車と四輪車のシナジー構築に挑戦してきましたが、言うは易しで、なかなか実現できた例は多くありません。そのような中で、インドではうまくシナジー効果を形成できています。これがインドにおけるHondaブランドの強みだと思っています。

先進国は既に二輪車市場は縮小していますが、インドの場合は経済成長とともに二輪車・四輪車共に需要が伸びています。また、二輪車から四輪車へステップアップしていく正常なモビリティー発展の流れもあり、Hondaブランドとしてうまく展開できていると思う。

ベトナムも今は二輪車中心の市場です。経済発展に伴い四輪車需要が増えてくる中で、二輪車と四輪車のシナジーをつくっていくことができるかもしれない。ですが、市場はインドの方が将来世界最大の人口をもつ圧倒的な規模がありますから、インドは今後も世界で最も重要な市場だと考えています。

これからインド進出を考えられている企業の方々にアドバイスをお願いします。

中川:日本企業へ来るようなインド人は優秀であると認識した上で、うまく人を使うこと、忍耐強くすることを心がけるとよいと思います。インド人はフランス人に似ているところもあり、自己主張は強いが、自分が気に入ったことは徹底的に動くという側面を持っていると感じています。例えば、自分がやりたいことがあれば、頼まなくても残業しても徹底的に打ち込む。こうした良い面は素直に評価して、業務に生かしてもらうことも重要です。

また、キーマンを認識して、その人を中心にプロジェクトを動かすことも効果があります。役職の上下に関係なく、キーマンとなる人間をインド人は自然と把握し、全員が認める習慣があると感じています。その人を中心に動かしていくと、円滑に物事を進めていくことが多いように感じます。

インタビュアー :インフォブリッジ代表・繁田 奈歩