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インド新聞 コラム

ボリウッド・ムービー格闘日記

インド映画の海外マーケット

映画は世相を反映する芸術だと言われます。インド映画も同様に、世界の中でインドという国の力、またインド国内の状況を写しています。

日本でインド映画は一般的とはいえませんが、インド映画の海外輸出の歴史はとても古いのです。インドで映画製作が始まったのは、1912年。1931年に初のトーキー映画「ハリシュチャンドラ王」が製作されますが、サイレンと時代から海外輸出は始まっていました。当初は植民地時代で同じイギリス領でインド系住民の多かったマレー半島や東アフリカが主で、やがて東南アジア各地、アフリカ全域、アラブ諸国へとマーケットが広がっていきます。1947年独立後は、共産主義路線をとったことで、旧ソ連や東欧圏、中国へも進出していきました。

インド映画がこれらの地域で人気を得たのは

  • (1)歌や踊りの入った娯楽性の高さ
  • (2)字幕なしでも楽しめるわかりやすさ
  • (3)ハリウッド映画より安い権利料
  • (4)共通する文化的背景

などの理由が、よく言われています。(2)については吹き替え版や、公開国の字幕を作るなど、さらに楽しめるよう、工夫もされていました。

インドは多言語国家ゆえ、多言語の映画が製作されています。南インド系が多いマレーシアやシンガポールではタミル映画が主流でしたが、他地域は、ヒンディー語映画:ボリウッドムービーでした。世界へ輸出されるインド映画の中でもボリウッドムービーは別格でした。

1990年代に入り、インドの経済発展に伴い、欧米各国にも輸出されるようになります。既にインド系移民の多いイギリスでは、週間興行収入ベストテン〔UK Top 10〕にはほぼ毎月インド映画がランクインしています。2008年に入ってからも、2月15日に歴史大作「ジョーダーとアクバル」が10位に、3月21日にはサスペンス映画「レース」が9位にランクイン。彼らにとってインド映画は特殊な映画ではないのです。

インド映画が他国で受け入れられている理由のひとつに近年のNRI(Non-Resident Indian)と呼ばれる海外在住インド人の存在があります。彼らを主人公とした映画が増加し、映画で描かれる風景や物語の欧米化する傾向があります。欧米の撮影技術を取り入れ、振り付け、音楽、ファッションも欧米映画を研究し積極的に取り入れ、洗練度がぐっとアップしています。人が移動して、彼らをターゲットの中心においた文化を発信する、必要に応じた変化といえるでしょう。

一方、独特のミュージカル形式、インド人が大切にする誇りや家族愛、友情などはきっちり描きこんで維持しています。グローバル・スタンダード映画+インド映画らしさ+世界規模の経済発展による相乗効果がインド映画をさらに魅力的なエンターテインメントに育て、世界中から注目されている理由なのでしょう。

日本でもヒットチャートにインド映画のタイトルが登場するのは、そんなに遠い日ではないと願っています。

執筆者

みのわさゆり
映画配給会社パンドラ

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