日本語で読めるインドニュース 『インド新聞』

08/28/2013 04:12 PM


 大手自動車メーカーの間で従業員の士気を高めることを目的とした取り組みが広がっている。景気の低迷による自動車の販売不振を受け人件費を削減するところも出ており、社員の働く意欲を持続させることへの危機感が強まっているためだ。

 国内の乗用車販売台数は8カ月連続、大型トラックは17カ月で前年割れを記録するなど、自動車業界は出口の見えない状況が続いている。業界全体で4-6カ月に計2,500-3,000人の期間工が契約を打ち切られており明るい材料は少ない。こうした中、各社とも社内の空気を好調時と同じ状態に保とうと知恵を絞っている。

 商用車大手マヒンドラ&マヒンドラ(M&M)は8月初旬、チャカン、ナシク両工場(いずれもマハラシュトラ州)で、慈善事業に取り組む活動家のシンドゥタル・サプカルさん(64)を招いて講演会を開催した。サプカルさんはこれまでに多くの孤児たちを養子として引き取り育て上げたことで知られる。講演でサプカルさんは、浮き沈みの多かったこれまでの自身の人生経験を基に、困難に遭遇した時の心の持ち方などについて計3,000人の従業員を前に語った。

 PN・シャー社長(自動車部門)は講演会について「効果があった」と振り返る。「取り分けチャカン工場は若い社員が多く、問題にぶつかった時にいかに心の平穏を保つか学ぶことは重要」と語る。講演後には孤児のために社員が集めた寄付金30万ルピーがサプカルさんに手渡された。

 同社ではこのほかにも、持ち場以外の工程で必要となる技能について学ぶ機会を設ける取り組みを進めている。幅広い知識や技術を習得させることで従業員の責任感を育てるのが狙い。また品質管理や部材の保管など仕事の基礎に関する研修も強化している。

 アショク・レイランドでは、ビノド・ダサリ社長が先ごろ、全国120カ所にある拠点をインターネット中継で結び、1万2,000人の従業員を前にスピーチを行った。内容はインド経済の現状や会社の事業戦略、従業員への要望など。これまでは取締役会でしか語ってこなかった内容だ。スピーチ終了後は、7月に実施した5%の給与削減や雇用、将来の事業計画などに関する社員からの質問に同氏が直接答えた。ダサリ氏は「市況が厳しい時は社員とのコミュニケーションが何よりも重要」と強調する。

 同社はさらに優秀な成績を上げた新人社員を会長名で表彰する制度を新たに導入した。ダサリ氏によると「社内では不況時にそうした制度を設けることに反対の声も多かった」が、実施に踏み切ったという。

 一方で、社員の士気を保つことを目指す企業のこうした取り組みに対しては、冷ややかな見方もある。

 全インド労働組合会議(AITUC)のDL・サチデブは一定の効果があることを認めつつも「新たな技能を身につけても販売台数が増えなければ労働者の将来に対する不安が消えることは無い」と指摘。需要拡大が労働意欲を刺激するうえで一番の特効薬との見方を示している。

8/27/2013


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