JICAは2010年2月から4月にかけて「アジア地域地元自然資源を活用するエコツーリズム展開のための研修」を実施している。アジア地域の10カ国(カンボジア、スリランカ、タイ、ネパール、フィリピン、ブータン、ベトナム、マレーシア、モンゴル、ラオス)から各国15人ずつ、計150人の研修員が約1カ月間、日本各地で環境教育を実施している地域や団体から、地域の自然資源や文化を活用するエコツーリズムについて学ぶもの。
ネパール向けの研修では、行政関係者だけでなくNGOやコミュニティーリーダー、旅行業関係者などの15人の研修員が、1月31日-2月26日まで、東京や、山梨県清里にある財団法人キープ協会に滞在し、研修を受けた。
ネパールには、世界最高峰のエベレストをはじめとする、標高8千メートル以上の山が8つあり、登山やトレッキングなどが盛ん。世界から年間50万人の観光客が訪れる。しかし、環境汚染や大規模な森林伐採などの問題が深刻となったことを受け、自然を保全しながら地域経済を活性化させようと、近年エコツーリズムが導入され始めた。
2月17日、研修員は富士山北麓を訪れ、富士登山におけるエコツアーや体験学習プログラムを実施する団体「富士山登山学校ごうりき」の池川利雄さんによる案内で青木ヶ原樹海のエコツアーを体験した。また、講演では研修員に対して、ガイドとなる人材の育成や、地元の観光産業が発展して利益を得られるようなシステムを整備することが重要だと話した。
18日には富士吉田市を訪れ、山梨県指定文化財となっている「旧外川家住宅」を訪問、文化財を地域の観光資源として活用している様子を見学した。
ネパール観光民間航空省のギャワリ・クリシュナ・プラサド氏とネパール・ツーリズム・ボードのバニヤ・リラ・バハドゥール氏は、「ネパールでは、観光産業に携わるガイドになるためには資格が必要。しかし、せっかく取得しても、他に収入の多い仕事が見つかると辞めてしまう人が多く、人材が不足している」「ネパールはインフラが未整備なところが多いため、環境保護だけでなく、開発も同時に進めていかなければならない」など、ネパールの観光産業が抱える問題点を挙げている。
研修員は、今般の来日で、地域の文化財や寺社などを活用することや、パンフレットやポスターなどの広報ツールを充実させて環境に対する意識を高めるなど、日本の団体の活動からさまざまなアイデアを吸収しており、自国でも取り入れたいという意欲を見せていた。
JICAは今後、研修員同士やネパール国内のみのネットワーク強化だけでなく、日本の企業と連携して研修を展開することも視野に入れている。(10年3月5日、JICAトピックスから)
03/05/2010
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