タタ自動車は23日、ムンバイで世界最安値の小型車「ナノ(Nano)」の発売記念式典を執り行った。価格は最も安い基本モデルの工場出荷価格を10万ルピー(約20万円)とし、当初からラタン・タタ会長が公言していた「ワン・ラーク・カー(One Lakh Car、現地語で10万ルピー車)」の価格を堅持した。
今般発売されるナノは3つのグレードがあり、エアコンなどのオプションまで含め7モデルを準備した。基本モデル(工場出荷価格10万ルピー)の店頭販売価格は、生産工場のあるウッタラカンド州パントナガルでは、物品税、輸送費などを加えて11万2735ルピーとなる。エアコン付きのトップモデルは17万355ルピーである。因みに、バンガロールでの価格は、輸送費がかさむのに加え、道路税(約15000ルピー)、保険が加わって13万5000ルピー、トップモデルで21万5000ルピーと予想される。
販売台数は10万台限定で、予約は4月9日から4月25日(17日間)の期間限定で受付けられる。納車は7月から開始される。
当初、同社は50万台の販売を視野に入れ、08年10月の販売開始を目指していたが、西ベンガル州シングールに予定していた工場建設が、建設途中で州の野党政治家と一部地元住民の反対で頓挫し、代わってグジャラート州サーナンドに切り替えて、現在工場が建設中である。この間パントナガルの同社工場で生産を開始し、第一フェーズとして今般の10万台の予約受付開始にこぎつけた。
この10万台をめぐって予約が殺到すると見られており、同社はコンピューターによるランダム抽選で販売者を決定する方針である。タタ自動車はこの10万台分については、今回発表の価格を維持するとしているので、これ以降の価格は見直される可能性もある。
また、インド・ステイト銀行(State Bank of India、SBI)を中核に、15の金融機関と提携して自動車ローンを提供し、全国各地をカバーする。因みにSBIのローンは、金利は最長7年で11.75-12%と見られる。頭金を2,999ルピーにとどめ、富裕者層のみならず、ピラミッドの底辺(Bottom of the Pyramid)と称される低所得者層を含めた幅広い消費者層を取り込む。
申込は、タタ自動車のホームページ(www.tatanano.com)で受け付けると同時に(予約1件あたり200ルピーが必要)、SBIをはじめ上記15の金融機関で受け付ける。申込用紙は、タタグループの自動車ディーラー、Tata Indicom 、Titan、Westside、Cromaのアウトレット、SBIの支店など、全国あわせて3万カ所以上の拠点で、一通あたり300ルピーで販売する。
更に、今般の抽選に外れても予約を継続する申込者に対しても、抽選で特典が準備されている。即ち、第二フェーズ割当の日を基準日として、預託金に対して、1年以上2年以下の期間では8パーセント、2年以上には8.75パーセントの利子を付与するという実に斬新な戦略を打ち出している。
25年前にマルチ・スズキが発売した「Maruti800」に次ぐ革命と称されるナノの販売戦略は、タタ自動車にとって大きな副次的効果をもたらすと見られる。
同社のラビ・カント(Ravi Kant)社長は、今般の正式発表初日だけで同社のウェブサイトに約4000万件のアクセスがあったことから、50万件の予約を見込むと話す。
予約手数料は、オンライン予約では1件あたり200ルピー、店頭では300ルピーであり、半分はオンライン予約と仮定しても50万件を受付ければ、1億2500万ルピーになる。
また、最も安い基本モデルの預託金は9万5000ルピーであり、予約完了のためには期間中に収める必要がある。グレードの高い車種の予約を考慮に入れると、一台あたりの預託金は平均で10万ルピーと捉えることができる。この預託金は、500億ルピーを超える計算になる。
一度支払われた預託金は、今般の予約受付期間終了後3カ月は返還されず、予約を保持する場合でも第二フェーズの割当の日まで利子は付与されないため、同社にとっては非常に低金利での資金調達方法となる。同社がジャガーとランドローバーを買収した際のブリッジ・ローンの1000億ルピーが今年6月に返済期限が迫るが、その半分にあたる資金の調達が今回の予約受付で成功する可能性がある。
03/31/2009
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