国連の監視機関であるIAEA理事会は1日、米印原子力協定のために必要な査察措置計画を承認する見込みであることがわかった。
米印原子力協定は、30年間閉ざされていた民生使用の核燃料や核技術の世界市場への道をインドに開くものとなる。
35カ国のIAEA理事会前の草案では、インドが公表している計画中を含む民生用原子炉22カ所のうち14カ所が、IAEAの定期的な査察下に置かれることになる。
査察措置計画が承認後、インドは、NPT非署名国と機密核原料の貿易を行うことを許可するという条件を、原子力供給国グループ(NSG)45カ国より得る必要がある。また、協定の発効のために米国議会の承認も得なければならない。
米国政治が11月の総選挙のため時間が残り少なくなってきていることから、米印両政府は、動きの遅いNSG参加国に対して積極的な働きかけを行っている。
西側の主要国は、大国インドを核不拡散の流れに導き、急成長するインド経済に低公害の原子力使用を増加させることで地球温暖化に歯止めをかけるとともに、高騰する石油やガス価格を下げることができるとして、米印原子力協定を強く支持している。
これに対し、欧州の小国や発展途上国、カナダ、ニュージーランド、核軍縮団体などは、NPTの順守がないがしろにされることを懸念している。
ウィーンで開かれるIAEAの会議では、賛否両論が挙がることが予想されている。これに対し外交筋は、「査察措置は、どんなに限定されたものであっても、核拡散防止にとって、総合的に見ればプラスに働く。おそらく全会一致で、承認は間違いないだろう」とみている。
米国大使グレゴリー・シュルテは30日、記者団に対して、「理事は、十分時間をかけて、承認について検討し、インドやIAEA査察団と質疑応答を行ってきた。IAEAで認められた保障措置システムにのっとった今回の承認は、妥当だと考えている」「1日の理事会は、世界で最も人口の多い民主主義国家インドと世界との隔たりをなくすための広範囲の努力に向けて大きな一歩となるだろう」と述べた。
しかし、理事会参加国の欧州とそのほか西側の一部では、懸念を完全に解消したわけではないと明かしている。査察が恒久的なものではないことを示唆し、インドが禁止された核兵器開発を推進する余地を残した表現を残していることが懸念点として挙げられている。
同外交筋が引き合いに出した"是正措置"条項には、核燃料の輸入が絶たれた場合等で、インドが査察を中止する可能性が示唆されている。なお、インド側は、これは商取引条項に必須の措置だとしている。
また、ある西側外交筋は、「この査察措置計画は、民生用と軍用の原子炉間での情報漏えいを防止するものではない。ウラニウム濃縮のような機密技術を含む情報について、軍用と民生用とを分けることなど、現実には不可能だ」と指摘する。
また、別の西側外交筋は、「活発な議論はNSG会議で行われるだろう。NSGでは、NPTに署名していない国への特別措置を許可すれば、イランなどほかの諸外国に間違った印象を与えることになるのではないかと懸念されている」と述べた。
また、「NSGで、インドが無条件の例外措置を求める場合、幾つかの西側諸国は、核実験廃止や、現状の基本的な査察の枠を超えた、入念な査察受け入れを誓約するよう、インドに要求するだろう」とも説明する。
07/31/2008 4:11:37 PM(ウィーン発)
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