インドは27日の週、国連の監視機関であるIAEA(国際原子力機関)と包括的な原子力査察体制を巡る協議を開始する。外交筋によると、米印原子力協定へのIAEA理事国の支持を取り付けることを狙っているという。
インドは既にIAEAの専門家と保障措置の枠組みについて議論しており、35カ国からなる理事会で検討される。理事会の承認は米印原子力協定成立の前提条件である。
また、2005年以来議論の的となってきた同協定が成立するには、慎重な配慮が求められる原子力関連取引を規制する原子力供給国グループ(NSG)45カ国の承認も必要とされる。さらにアメリカ連邦議会で批准されねばならない。
外交筋によると、インドは追加議定書と呼ばれる枠組みを受け入れる方向に進みつつある。これは通常の保障措置の枠を超えた査察権限をIAEAに与えるもので、これにより原子力供給国グループにある懐疑論を一掃するもの。
「インドがこの方向へ進むとすれば大変望ましい。しかし、プロセスは長くかかると聞いている」と、政治的に微妙なことから匿名を条件としてある外交官は話す。
8月1日にIAEA理事会で話し合われる保障措置協定の草案では、インドは"規制品目"にある原子力関連物品を輸入し平和利用できるようにするため、14の民生用原子炉で査察を受け入れることに同意している。
インドのシバシャンカル・メノン外務次官は先週、IAEA理事各国および原子力供給国グループ代表に保障措置協定の草案を説明しており、インドは秋に追加議定書をまとめ上げると述べたと、会合に出席した外交官らは話している。
来週のIAEA理事会に出席するインド外交上層部は、また追加議定書についてIAEAと話し合いを始めると外交筋は伝える。
IAEAでは米印原子力協定を核不拡散と発展途上国における比較的クリーンなエネルギーの平和利用を促進するとして支持している。IAEAの法律専門家の手によってインドの査察措置の草案が保障措置の水準を満たすものであることは確認されている。IAEA理事会では激しい議論が予想されるが、IAEAの査察権限が拡大されていることから最終的には承認されると外交筋はみている。
原子力供給国グループ(NSG)ではより激しい抵抗が予想されている。核不拡散条約に参加せず核実験を行った3カ国の1つであるインドに無条件で原子力取引を認めるのが前例となるのをNSGでは懸念している。
「インドが予想する以上の議論がIAEA理事会であるだろうが、協定が頓挫するとは思わない」と別の外交官は話す。「理事会は承認すると思うが、NSGで何が起きるかという大きな問題がある」。外交筋は、インドに保障措置の草案にある査察が必ずしも恒久的なものではないことを示唆する個所と、インドの民生
用原子炉と軍用原子炉を現在は明確に区別しているとされるがこれをあいまいにしかねない個所について字句を明確にすることを求めている。
外交筋は序文にある"是正措置"で、新たな核実験を行った場合の抗議などで核燃料の輸入を絶たれた場合、インドは査察を中断することが示唆されていると指摘している。
メノン外務次官はこうした懸念を完全にぬぐい去ることはできなかったとという。
インドが核不拡散条約に加盟していないにも関わらず原子力関連の取引を認めるにあたって、NSGは条件をつけることを求める可能性があると、外交筋は述べている。
「新たな条件をNSGで検討する必要がおこりえる。例えば核実験を行った場合、例外扱いの見直しを行うといったものだ」と別の外交筋は話す。
インドとアメリカはIAEAの査察官も推奨しており、インドの原子炉の大半が初めて国連査察に開放されて、不拡散の主流にインドを導くものであることから承認されるものとみている。
米印原子力協定は民主主義国家で最大の人口を擁するインドとの戦略的パートナーシップを強化し、インドの膨らむエネルギー需要を満たし、世界の企業に数十億ドル(数千億円)の市場を開放すると米政権筋は述べている。
07/22/2008 7:12:17 PM(ウィーン発)
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